藤原氏の氏神と言われるアメノコヤネノミコト(天児屋根命)とは？神話やご利益について詳しく紹介！

アメノコヤネノミコトは祝詩や言霊の神として信仰されています。
日本神話では天照大御神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸に隠れた際に祝詩を唱え、
重要な役割を担ったことで有名です。

今回の記事では、

• アメノコヤネノミコトはどんな神様？
• アメノコヤネノミコトの神話
• アメノコヤネノミコトのご利益、祀られている神社

について詳しくご紹介していきます。

ぜひ最後までご覧ください。

アメノコヤネノミコトはどんな神様？

アメノコヤネノミコトは、日本神話の「天岩戸」に登場する祝詞の神様です。

瓊瓊杵尊（ニニギノミコト）が天孫降臨する際に同行し、地上に降りました。

名前の由来

アメノコヤネの「コヤネ」は「神の社の小さな屋根」の意味で、
「神様のお告げのあるところ」と考えられております。

また別説では、言綾根(ことあやね)の意味で「祝詞を美しく奏上する」こととも言われるそうです。

祝詞の神

天岩戸神話において、天照大御神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸に隠れてしまいます。

アメノコヤネノミコトが祝詞を奏上したことにより、外に出るきっかけを作りました。

一説では神々が天岩戸の前で盛り上がる中、アメノコヤネノミコトは延々と祝詞を読んでいたのだとか。

アマテラスオオミカミを褒め称える言葉が、心を動かしたのではないかと言われております。

アメノコヤネノミコトの系図

父神・・・興台産霊命（コゴトムスヒ）または建御雷神(タケミカヅチ)

母神・・・己等乃麻知媛命（コトノマチヒメノミコト）

妻神・・・天美津玉照比売命（アメノミツタマテルヒメノミコト）

子神・・・天押雲根命（アメノオシクモネノミコト）

孫神・・・天種子命（アマノタネコノミコト）

日本書紀では中臣氏（後の藤原）の遠祖で、言霊の神である興台産霊(コゴトムスビ)神の子とあります。

系図で考えると、アメノコヤネノミコトの子孫は中臣氏や藤原氏です。

そのことからアメノコヤネノミコトは重要な神様だと言えます。

言霊信仰

アメノコヤネノミコトが「祝詞」を奏上したことにより、アマテラスオオミカミを天岩戸から連れ出すことに成功しました。

アマテラスオオミカミの心を動かすきっかけとなったのです。

そのことから、アメノコヤネノミコトは言霊信仰のルーツともいわれています。

古代の日本人は言葉には霊力が宿っており、発した言葉が現実を作ると信じられていました。

言葉は私たちの心に、良くも悪くも何かの影響を与えます。

特に神に関する信仰を伝える「祝詞」は、最強の言霊と言えるでしょう。

アメノコヤネノミコトの別名

アメノコヤネノミコトには様々な別名があります。
神社仏閣によって記載されている名前が異なるのですが、
以下の名前が書かれていればアメノコヤネノミコトを参拝できるでしょう。

・天児屋命(アメノコヤネノミコト)
・中臣神(ナカトミノカミ)
・天之子八根命(アメノコヤネノミコト)

その他にも通称として、

・春日神
・春日権現（かすがごんげん）
・春日大明神

などがあります。

アメノコヤネノミコトの神話

アメノコヤネノミコトは、有名な神話に登場する神様です。
アマテラスオオミカミとの関りや、子孫である藤原氏の話などを紹介していきます。

天岩屋戸

日本神話「天岩戸」において須佐之男命(スサノオノミコト)の乱行により、アマテラスオオミカミが天岩戸に隠れてしまいました。

すると次々に災いが起き始め、世界は闇に包まれたのです。

困った八百万の神様たちは会議を開きます。

アマテラスオオミカミを岩戸から連れ出すにはどうすれば良いか、皆で方法を考えました。

アメノコヤネノミコトはフトダマと共に占いを行い、祝詞を奏上することに。

儀式で、見事に美しい祝詞を奏上したアメノコヤネノミコト。

天岩戸からアマテラスオオミカミを連れ出すことに成功したのです。

天孫降臨

古事記や日本書紀の中で、天上界から神が地上に降り立ったといわれるのが天孫降臨です。
オオクニヌシノカミから葦原の中つ国を譲り受けたアマテラスオオミカミ。

アマテラスオオミカミは、息子であるアメノオシホミミノミコトに国を治めるように命じました。
しかし身支度の最中、ニニギノミコトが誕生します。

アメノオシホミミノミコトは、自分よりも若いニニギノミコトが国を治めるのに適していると申し出ました。
アマテラスオオミカミはその願いを聞き入れ、ニニギノミコトが葦原の中つ国へ降りることになります。

アメノコヤネノミコトは、ニニギノミコトが天孫降臨した際に同行するのです。

藤原氏への継承

アメノコヤネノミコトは、天孫降臨の際ニニギノミコトの降臨に従いました。

五伴緒神(イツトモノオノカミ)の1人として随伴し、宮廷祭祀を司る中臣連の祖先神となるのです。

「中臣」とは神と人をとりもつという意味があり、政権の中で大きな影響力をもっていたとこのこと。

そして、後に中臣氏の祖とする藤原氏の氏神となりました。

アメノコヤネノミコトのご利益

アメノコヤネノミコトには、様々なありがたいご利益があります。
どんなご利益があるか、詳しく見ていきましょう。

学業成就（受験・入試合格）

アメノコヤネノミコトは、言葉の神として信仰されています。

そのため文章力の上達、学業成就にご利益があるとされているのです。
試験の前や、勉強に行き詰まった時に力を授けてくれるでしょう。

所願成就

アメノコヤネノミコトは、祝詞をもって八百万の神に意思を伝えることができる唯一無二の神様です。

そのことから「不可能のない神」と伝えられています。

夢や目標を御祈願する際は、言霊のルーツとも呼ばれるアメノコヤネノミコトが祀られた神社へ行ってみてはいかがでしょうか。

アメノコヤネノミコトが言葉が現実化する力を授けてくれることでしょう。

出世開運

アメノコヤネノミコトは、中臣氏の祖神様です。

そして、中臣鎌足を代表とする藤原氏の氏神様として崇敬されてきました。

藤原家の栄華にあやかり、出世の神様としても人気があります。

子授け

アメノコヤネノミコトと妻のアメノミツタマテルヒメノミコトは、ご夫婦でお祀りされていることが多いです。

そのため子宝や安産、夫婦円満の神ともいわれます。

子宝に恵まれるよう祈る際や安産祈願、家族の安全と幸せを願う際にはアメノコヤネノミコトを祀る神社へ参拝してみてください。

アメノコヤネノミコトが祀られている神社

アメノコヤネノミコトを祀っている神社は、全国にあります。

いくつかご紹介するので、お参りに行く時の参考になさってください。

牧岡神社

牧岡神社(ひらおかじんじゃ)は、歴史の深い由緒ある神社です。

古事記・日本書紀で記されている初代天皇の、神武天皇が即位する3年前に建立されたと言われます。

約500本の梅の木が植えられた梅の名所となっており、春になると全国から多くの人々が訪れるそうです。

・笑って厄を落とす「お笑い神事」
・日本神話の天岩戸を再現した「天の岩戸開き神事」

など全国でも珍しい神事のある活気溢れるパワースポットです。

春日大社

全国に1000社ほどある春日神社の総本社で、世界遺産に登録されている名社です。

8月に行われる神事「万燈籠（まんとうろう）」では、約3000基の燈籠に火が灯されます。

その灯が朱塗りの社殿を照らし出し、美しく輝かせるのです。

そんな幻想的な風景はまさに絶景といえるでしょう。

吉田神社

西暦859年に平安京の守護神として創立され、厄除け開運の神様として信仰されている神社です。

他にも料理の神様やお菓子の神様など、様々な神様が祀られた複数の社があります。

五社神社

徳川秀忠公誕生にあたり、産土神として崇敬されてきた徳川家と縁の深い神社です。

拝殿前には日本で最も大きいとも言われる狛犬の像がありますよ。

戸明神社

戸明神社は日本神話「天岩戸」で活躍した、
・天手力雄大神(アメノタヂカラオノオオカミ)
・天児屋根大神(アメノコヤネノミカミ)
が主催神です。

岩戸を開き、尽力した開運の力神が祀られた神社として信仰されております。
御社名の「戸明」はその神話が由来なのだそうです。

まとめ

祝詞、言霊の神であるアメノコヤネノミコトについて紹介しました。

古くから言霊を大切にしてきた日本人。

だからこそ神と人を繋げる『祝詞』を奏上し、幸せと平和へと導いたアメノコヤネノミコトは多くの人から信仰されてきたのでしょう。

アメノコヤネノミコトが祀られた神社は日本全国に多くあります。

言葉が現実化する力を授けてくれることでしょう。

ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。