力の神アメノタヂカラオ(天手力男命)とは？神話や祀られている神社を紹介！

天界一の怪力の持ち主と言われる神、アメノタヂカラオを知っていますか？
アメノタヂカラオは力が強く、古くから庶民の間でも人気がある神様です。

パワフルな振る舞いから、現代でも神楽のモチーフとして知られています。
アメノタヂカラオについて知りたい人はもちろん、スポーツをしている人にもおすすめなのでぜひ最後まで読み進めてみてください。

アメノタヂカラオってどんな神様？

アメノタヂカラオを一言で表すなら、「力の神」です。
日本にはたくさんの神様がいますが、アメノタヂカラオはその中の誰よりも力が強かったと言われています。

力に長けた神様だからこそ、今でも多くの神話や伝説となっているのでしょう。

アメノタヂカラオの神話

アメノタヂカラオは神話に何度か登場しており、なかでも有名なエピソードが「天岩戸事件」です。
太陽神であるアマテラスオオミカミが岩戸に隠れてしまい、世界は闇に包まれました。

このとき、岩の扉を開けて放り投げたのがアメノタヂカラオです。
アマテラスオオミカミがほんの少し扉を開けたところを見逃さず、扉を開けてアマテラスオオミカミを外に出しました。

そして二度と扉を閉められないように、遠くに放り投げたと言われています。

名前の由来

アメノタヂカラオを漢字で書くと、「天手力男」となります。
タヂカラとは、漢字からも分かるように手の力があるという意味です。

つまりアメノタヂカラオは、腕力や筋力に優れていたことが想像できるでしょう。
アメノタヂカラオには、腕力や筋力を象徴する意味が込められているのです。

アメノタヂカラオの神格

アメノタヂカラオと聞くと、怪力のイメージを抱く人も多いかもしれません。
確かに力の強い神様ですが、アメノタヂカラオは筋肉を鍛えてそれを活かす能力にも長けていました。

そのため、アメノタヂカラオの神格には「力の神」だけではなく「技芸の神」もあるのです。

アメノタヂカラオの別名

アメノタヂカラオに限ってではありませんが、書籍や神社によって神様の呼び方が変わることは珍しくはありません。
アメノタヂカラオにも、以下のような呼ばれ方があります。

• オオクズタマノミコト
• タチカラオノミコト

これらはどちらも、アメノタヂカラオのことを指しているのです。

アメノタヂカラオと様々な説

アメノタヂカラオは、先ほども触れたように多くの神話に登場しています。
それゆえ、アメノタヂカラオにまつわる話もたくさんあるのです。

ここでは、そんなアメノタヂカラオに関する話をいくつか紹介します。

山岳信仰との関り

アメノタヂカラオは、神様が住むとされる山と非常に深い関わりがあります。
アメノタヂカラオとゆかりのある立山や戸隠山は、どちらも霊山として信仰されている場所です。

霊山は神聖視されていて、一般人は入ることができません。

そのため、昔は霊山との境目は「異界とこの世の境目」と言われていたのです。
山岳とは霊山のことを指すので、山岳信仰ではアメノタヂカラオを信仰していると言えるでしょう。

戸取舞（ととりのまい）

アメノタヂカラオは力強さの象徴であり、そのパワフルさは非常に人気がありました。
そのため、現代でも神楽の演目となっています。

その中のひとつが、宮崎県高千穂町で行われている夜神楽「戸取舞」です。
戸取舞は、アメノタヂカラオが岩戸に隠れたアマテラスオオミカミを出すための一連の行動を表現していると言われています。

岩の扉を投げ捨てるシーンは、まさに迫力満点です。

天岩屋戸

アマテラスオオミカミが岩戸に隠れてしまったことで、世界は真っ暗になってしまいました。
このとき、岩戸を投げて扉を閉められないようにしたのがアメノタヂカラオです。

アメノタヂカラオが投げた岩戸が地上に落ち、それが戸隠山になったと言われています。
岩戸から出てきたアマテラスオオミカミを出迎えていることから、アメノタヂカラオは
「太陽神復活の手伝いをした神」でもあるのです。

天孫降臨

天孫降臨とは、アマテラスオオミカミの孫にあたるニニギノミコトが地上に降りてくるお話です。
このとき、アメノタヂカラオはニニギノミコトに同行して一緒に地上に降りてきています。

任務を全うしたあと、アメノタヂカラオは地上に定住することにしました。
自分が投げた岩から成る戸隠山を、アメノタヂカラオは定住地として選んだそうです。

アメノタヂカラオのご利益

アメノタヂカラオは私たちにとっても身近な神です。

そのため、ありがたいご利益がたくさんあります。
自分の願いに当てはまるという人は、ぜひ信仰してみてください。

技芸上達

アメノタヂカラオは、筋力に長けている神ですがそれだけではありません。
優れた筋力を活かす技術にも長けていました。

そのため、アメノタヂカラオを信仰すると技術向上・技芸上達のご利益が得られると言われているのです。

開運招福

アメノタヂカラオは、太陽神復活の立役者でもあります。
アマテラスオオミカミがあのまま岩戸に閉じこもっていたら、世界に再び明かりが灯ることはありませんでした。

つまり、アメノタヂカラオによって世界の運命は変わったと言っても過言ではないのです。
運を開いて福を招く、まさにアメノタヂカラオは開運招福の神だと言えるでしょう。

スポーツ上達

筋力は、どのスポーツにおいても必要なものです。
筋肉がなくてできるスポーツなどありません。

アメノタヂカラオは筋力に長けていたので、信仰するとスポーツが上達すると言われているのです。

厄除け

厄とは災いのことで、この世に起こる良くないことの総称でもあります。
アマテラスオオミカミが岩戸に隠れて世界が闇に包まれたとき、多くの禍が訪れたそうです。

その禍を止めた救世主のひとりが、アメノタヂカラオで間違いありません。
多くの禍から世界を救ったアメノタヂカラオですから、厄除けの効果も高いでしょう。

五穀豊穣

一見すると、力の神であるアメノタヂカラオと農業は関係があるようには思えないかもしれません。
しかしアメノタヂカラオは、世界に再び太陽を蘇らせた人物でもあります。

太陽がなければ、作物は育ちません。
このことから、太陽を復活させたアメノタヂカラオには五穀豊穣のご利益があると言われているのです。

アメノタヂカラオが祀られている神社

ではここで、アメノタヂカラオが祀られている神社をいくつか紹介しましょう。
アメノタヂカラオは多くの神話に登場するなど知名度も高いため、全国各地に祀られています。

気になる神社が見つかった人は、ぜひお参りに足を運んでみてください。

戸隠神社

戸隠神社では、奥社にてアメノタヂカラヲをお祀りしています。
約2キロに及ぶ参道は大変だと感じるかもしれませんが、萱葺きの赤い随神門が見えてきたらあと半分ほどです。

天然記念物に指定されている杉並木を通り、お参りに行きましょう。
奥社の例祭は8月に行われており、多くの人が参拝に訪れています。

手力雄神社

手力雄神社は、織田信長が稲葉山を攻略する際に戦勝祈願に訪れたと言われる神社です。
そのため、勝運上昇を求めて多くの人が参拝に訪れています。

年間を通して様々な神事が行われていますので、定期的に人が集まる神社と言えるかもしれません。
特に4月後半の例祭には、県内外からの参拝客で賑わっているでしょう。

湯島天神

湯島天神は東京大学の近くにあり、学業成就の神社としても有名です。
特に受験のシーズンには、お参りに来る人が後を絶ちません。

また、例祭は5月の末に行われています。
様々な祭典やお神輿など見どころも多いので、ぜひ足を運んでみてください。

戸明神社

戸明神社は力の神であるアメノタヂカラヲを祀っていますので、大相撲の力士が参拝に来ることも多いです。
その他にも、スポーツ選手や学校の運動部などが御神徳にあやかりに来ています。

それほどまでに、戸明神社は運動面でのご利益が強いのだと言えるでしょう。
2月3日の節分祭の期間中には、鳥居におたふくの面を設置するなど地元の風物詩となっています。

雄山神社

雄山神社は、北アルプス立山の主峰・雄山の山頂にあります。
絶景を眺められるスポットでもあるため、夏には多くの登山者が参拝に訪れているようです。

峰本社までの登山道は徒歩で約2時間かかるため、参拝に訪れる場合は山歩きのできる格好で行きましょう。
山道を登っていくのは大変かもしれませんが、景色を楽しみながら進んでみてください。

まとめ

力の神、アメノタヂカラオについて紹介しました。
アメノタヂカラオは腕力や筋力に長けていたものの、威張ることのない心優しい神様だったといえます。

だからこそ庶民からも人気があり、今でも信仰する人が後を絶たないのでしょう。
スポーツ上達の神様でもありますので、スポーツをしている人にもおすすめの神様です。