武神タケミカヅチノカミ(武甕槌神)とは？神話や様々な説、祀られている神社を紹介！

武の神、タケミカヅチノカミを知っていますか？
タケミカヅチノカミは、難航していた国譲りを成功させた武に長けた神です。

その他にも、多くの功績を残している神でもあります。
ここでは、そんなタケミカヅチノカミについて紹介していきましょう。

タケミカヅチノカミについて知り、より身近に感じてみてください。

タケミカヅチノカミってどんな神様？

タケミカヅチノカミを一言でいうなら、武力に長けた神です。
力が強く、負け知らずと言えるでしょう。

また、多くの天津神が失敗した国譲りを成功させた神でもあります。

タケミカヅチノカミの誕生

タケミカヅチノカミは、カグツチという火の神の子どもです。
カグツチは神生みで知られるイザナギとイザナミの子どもなので、タケミカヅチノカミは「神生みの神の孫」になるわけです。

そんなタケミカヅチノカミは、カグツチの血液から生まれました。

実はカグツチは、生まれて間もなく父であるイザナギに殺されています。
カグツチを産んだことがきっかけでイザナミが死んでしまい、イザナギは耐え切れなかったのでしょう。

カグツチの首を斬り落として殺し、そのときの血液から生まれたのがタケミカヅチノカミなのです。

国譲り神話にて活躍

国譲りというのは、葦原中国（地上）を統治する権利を国津神から天津神にするというものです。
そのためにアマテラスオオミカミは、複数の天津神を地上に送ってきました。

しかし、国譲りはそう簡単にはいきません。

どうしたものかとオモイカネに相談した結果、選ばれたのがタケミカヅチノカミです。
タケミカヅチノカミは大国主に国譲りを迫り、彼の息子を倒して見事国譲りを成功させました。

名前の由来

タケミカヅチノカミの名前からは、武力に長けた存在であることがわかります。
「タケ」は武力、「ミカヅチ」は雷を表しているそうです。

稲妻は空から剣が落ちてくるように見えることから、強さや恐怖の対象として知られていました。
タケミカヅチノカミは、稲妻のような絶対的な力を持つ存在というわけです。

タケミカヅチノカミの神格

タケミカヅチノカミは武の神なので、神格も武にちなんだものが多いです。

• 雷神
• 剣神
• 武神
• 軍神
• 地震の神
• 境界神

このように、非常に多くの神格を持っている神様だと言えるでしょう。

タケミカヅチノカミの別名

タケミカヅチノカミは、書物によって別の呼ばれ方をしていることもあります。
実は多くの名前や呼ばれ方があることは、神様にとっては珍しいことではありません。

• タケミカヅチノオノカミ
• タケフツノカミ
• トヨフツノカミ
• カシマノカミ

これらはすべて、タケミカヅチノカミのことを指しています。

タケミカヅチノカミと様々な説

タケミカヅチノカミには、国譲り以外にも多くの伝説が残されています。
ここでは、そのうちの3つを紹介しましょう。

なぜタケミカヅチノカミの神格に「地震の神」があるのか、その理由も分かるはずです。

藤原氏の氏神

奈良・平安時代に活躍した藤原氏が、タケミカヅチノカミを崇めていたという説があります。
藤原氏の氏社は春日大社ですが、春日大社の祭神に鹿島神宮が加えられたのです。

鹿島神宮にはタケミカヅチノカミが主祭神として祀られています。
そのため、タケミカヅチノカミは藤原氏の氏神だったのではないかと言われているのです。

神武天皇を救う

初代天皇である神武天皇は、熊襲征伐に苦戦していました。
心配したアマテラスオオミカミは、タケミカヅチノカミに助っ人に行くように話します。

タケミカヅチノカミは「自分が行かなくても剣を託せば問題ない」と言い、自分の剣「フツノミタマノツルギ」を地上に降ろすのです。
この剣をタカクラジノミコトが神武天皇に届けたことで、神武天皇は事なきを得たと言われています。

オオナマズを封じた

その昔、自然災害のなかでも最も恐れられていたのが地震です。
そして、地震の原因はオオナマズだと言われていました。

日本列島にも匹敵するようなオオナマズが現れ、地震を引き起こしていると考えられていたのです。

タケミカヅチノカミはフツヌシノカミと協力して地中に石棒を指し、オオナマズの頭と尾を押さえて地震を止めました。このことから、タケミカヅチノカミは地震の神と呼ばれるようになったのでしょう。

タケミカヅチノカミのご利益

タケミカヅチノカミをお参りすると、どんなご利益があるのでしょうか。
タケミカヅチノカミは武力に長けており、国譲りなど多くの功績を残してきました。

それらにちなんで、タケミカヅチノカミのご利益には以下のようなものが挙げられます。

武道守護

タケミカヅチノカミの代表的な神格の一つでもあるのが、武神です。
武力に優れ、力に長けていたことは言うまでもありません。

タケミカヅチノカミを信仰すると、武道守護のご利益が得られるでしょう。

国家鎮護

国家鎮護というのは、「国家のわざわいを鎮めて安泰にする」という意味です。
タケミカヅチノカミは、葦原中国を統治して国を統一することに成功しました。

平和な国を作るために行ったわけですから、お参りに行くと国家鎮護の効果も得られるでしょう。

厄除開運

厄災というのは、わざわいのことです。

昔は、自然災害や疫病などはすべて厄災だと言われてきました。
タケミカヅチノカミは、オオナマズを仕留めることで多くの人に恐れられていた地震を止めています。

このことから、厄除開運のご利益もあるのです。

病気治癒

病気治癒とは、今ある病気が治ることを言います。
タケミカヅチノカミが祀られている神社の大半では、病気治癒のご利益があるのです。

実は奈良時代には多くの疫病や感染症が流行し、たくさんの人が亡くなりました。
藤原一族も、例外ではありません。

疫病を止めるために、神社を建てたりお参りをしていたそうです。
タケミカヅチノカミはそんな藤原氏の氏神ですから、病気を治す効果もあるのかもしれません。

延命長寿

誰もが願うことともいえるのが、健康に長生きしたいというものでしょう。
タケミカヅチノカミのご利益には延命長寿もあるので、ぜひお参りに行ってみてください。

タケミカヅチノカミが祀られている神社

ではここで、タケミカヅチノカミが祀られている神社をいくつか紹介します。
タケミカヅチノカミに興味がある人はもちろん、気になる人はぜひ神社まで足を運んでみてください。

鹿島神社

鹿島神社では、なんと年間で約90もの祭儀が行われています。
様々な神事が行われていますが、なかでも注目されるのが「御船祭」です。

御船祭は、なんと12年に一度しか行われません。
3000人の行列、120艘の船とともに巡幸する様子は圧巻です。

春日大社

春日大社では、国家や国民の平和と繫栄を祈る祭りが年間2200回以上行われています。
なかでも3月13日に行われる「春日祭」は、なんと1200年以上も続く歴史のあるものです。

また、敷地内には植物園や茶屋もあります。
四季折々の風景を楽しみながら庭園でいただくこともできるので、人気の高いスポットだと言えるでしょう。

吉田神社

吉田神社は、境内が広く歴史のある神社です。
タケミカヅチノカミは、本宮の第一殿に祀られています。

年間を通して様々な神事が行われていますが、なかでも多くの人が集まるのが4月に行われる例祭でしょう。
他ではあまり見られない倭舞などが行われますが、残念ながら一般参列はできません。

しかし中門からの見学は可能なので、足を運んでみてはいかがでしょうか。

椋神社

椋神社は埼玉県秩父市にあり、ロケットの打ち上げ地としても知られています。
秋の例祭では、龍勢煙火を見ることができるでしょう。

誰でも見ることができますが、落ち着いて見たい人のために特別観覧席も用意されています。
また、赤と黒の2種類がある龍勢お守りはここでしか手に入れることはできません。

大原野神社

大原野神社は、春日大社の第一分社です。
そのため、主祭神は春日大社と同じくタケミカヅチノカミとなっています。

紫式部が詠んだ和歌が書かれた「紫式部御朱印」や藤原道長の歌にちなんだ「望月叶守」は、大原野神社でしか手に入れることはできません。

また、紅葉の名所としても有名です。
木々が色づく頃に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

武力に長けた神、タケミカヅチノカミについて紹介しました。
タケミカヅチノカミは国譲りを成功させたり神武天皇を助けるなど、多くの活躍をしてきた神でもあります。

また、オオナマズを仕留めて地震を止めるなど人々からも慕われていたことでしょう。
私たちにとっても重要な働きをした神さまですので、ぜひお参りに行ってみてください。