食物の女神、豊穣の女神として知られているオオゲツヒメを知っていますか?
オオゲツヒメは食物を生み出す神様ですが、その生み出し方が原因で死んでしまう悲しい女神でもあります。
ここでは、そんなオオゲツヒメについて紹介していきましょう。
オオゲツヒメがどんな神様なのかを知り、その上でお参りに行ってみてください。
オオゲツヒメってどんな神様?
オオゲツヒメは、一言でいうなら「食物の女神」です。
自分の体から様々な食物を生み出すことができ、日本で穀物が栄えたきっかけになった神と言えるでしょう。
古事記にも日本書紀にも登場しますが、どちらにおいてもきょうだいに殺されるという悲しい結末を迎える女神でもあります。
オオゲツヒメとは
オオゲツヒメは、イザナギとイザナミの神生みによって誕生しました。
食物や穀物、豊穣の女神として知られています。
自分で食物を生み出すことができるため、来た人を豪華な食事でもてなしてきました。
日本人の「おもてなしの心」は、オオゲツヒメから生まれたと言っても過言ではないでしょう。
しかし、そのおもてなしの方法が原因でオオゲツヒメは殺されてしまいます。
食べ物を口や鼻、尻から出していたのです。
それを汚いと怒ったスサノオ(古事記)、ツクヨミ(日本書紀)によってその生涯に終止符を打つことになりました。
同一視されている神様
日本神話に登場する神様は、非常に多いです。
その中には、神格や性格などが似ている神様もたくさんいます。
そしてそのような「似ている神様」は、同じ神様として扱われることも珍しくはありませんでした。
オオゲツヒメの場合は、「食物・穀物の神」「女神」という特徴があります。
このことから、ウカノミタマノカミやトヨウケノオオミカミと同一視されることがあるようです。
名前の由来
オオゲツヒメというのは、「大いなる食物の女神」という意味になります。
イザナギとイザナミの子供であり天津神なので、「大いなる」という意味の名前が付けられたのでしょう。
食物や穀物を生み出す力を持っていることも、納得です。
オオゲツヒメの神格
オオゲツヒメには、以下のような神格があります。
- 食物神
- 農業神
- 蚕の起源神
- 牛馬の神
食物神や農業神については納得できても、蚕の起源神や牛馬の神という神格については不思議に感じる人もいるでしょう。
実はオオゲツヒメは、死んだときに蚕や牛馬を誕生させました。
このことから、これらの神格も持つようになったのです。
オオゲツヒメの別名
オオゲツヒメという名前は、古事記での呼び名です。
日本書紀では、「ウケモチノカミ」という名前で呼ばれています。
全く別の呼ばれ方ではありますが、ウケモチノカミはオオゲツヒメのことを指す呼び名です。
オオゲツヒメの関りのある神話
オオゲツヒメは古事記にも日本書紀にも登場しますが、その内容は少し違います。
内容自体は同じなのですが、登場人物が異なると言った方が良いかもしれません。
ここでは、そんなオオゲツヒメと関わりのある神話について紹介します。
五穀起源神話
五穀起源神話は、古事記に書かれているお話です。
高天原を追放されたスサノオは、食事を求めてオオゲツヒメのもとを訪れます。
オオゲツヒメはスサノオを歓迎し、豪華な食事でもてなしました。
次から次へと料理が出てくることを不思議に感じたスサノオは、オオゲツヒメの様子を覗きます。
するとそこには、口や鼻や尻から食べ物を出すオオゲツヒメの姿があったのです。
汚いとスサノオは激怒し、持っていた剣で斬り殺してしまいます。
するとオオゲツヒメの死体から、稲・粟・麦・小麦・大豆などが生まれたそうです。
日本書記・ツクヨミとウケモチ
日本書紀では、オオゲツヒメのもとを訪れたのはスサノオではなくツクヨミとなっています。
ツクヨミはスサノオの姉で、どちらもイザナギとイザナミの子供です。
経緯は五穀起源神話と同じですが、日本書紀ではオオゲツヒメはツクヨミに殺されます。
そして「オオゲツヒメを殺した」ことに激怒したアマテラスオオミカミは、ツクヨミと永久に決別しました。
これにより、太陽と月は昼と夜という別々の時間帯に出るようになったそうです。
国生みの神話
オオゲツヒメの親であるイザナギとイザナミは、国生み・神生みをした神様でもあります。
オオゲツヒメも、国生みの一環として誕生しました。
国生みによって伊予二名島という4つの顔を持つ島が誕生したのですが、そのひとつがオオゲツヒメです。
粟国がオオゲツヒメであり、そこから誕生したと言われています。
オオゲツヒメのご利益
食物の女神であるオオゲツヒメを信仰すると、どんなご利益があるのでしょうか。
神社にお参りに行く前に、自分の叶えたい願いにあっているか知りたい人も多いでしょう。
オオゲツヒメのご利益を知り、有意義な時間を過ごすことをおすすめします。
開運招福
開運招福とは、「運を開いて福を招く」という意味です。
最近良いことがない、運が悪いと感じている人はオオゲツヒメをお参りしてみると良いでしょう。
オオゲツヒメは神生みによって誕生した神なので、運の流れを変えられるかもしれません。
農業守護
オオゲツヒメが死んだとき、その体からは様々な食物や穀物が生まれました。
それらを持ち帰り、地上に届けたことで穀物が栄えたと言われています。
つまり、オオゲツヒメは日本の農業のきっかけになったと言っても過言ではありません。
このことから、オオゲツヒメをお参りすると農業守護のご利益が得られるでしょう。
漁業守護
オオゲツヒメのご利益は、農業だけではありません。
実はオオゲツヒメには、漁業守護のご利益もあります。
日本書紀でツクヨミをおもてなしするとき、オオゲツヒメ(ウケモチノカミ)は大小の魚も出しました。
農産物だけでなく魚介類も生み出せたことから、漁業守護も得られるのです。
厄除け・縁結び
何事もなく過ごしたい人におすすめなのが、厄除けです。
この世に起こる良くないことは、全て「厄」がついているからだと言われています。
オオゲツヒメには厄除けのご利益もありますから、ぜひお参りに行ってみてください。
また、恋愛に限らず様々な縁を結びたい人にもオオゲツヒメを信仰することをおすすめします。
子宝
オオゲツヒメは、神生みによって誕生しました。
オオゲツヒメ自身に子供はいませんが、神生みと関わっていることから子宝のご利益も得られます。
なかなか子どもができずに悩んでいる人やそろそろ子どもを考えている人は、ぜひお参りに行ってみてください。
オオゲツヒメが祀られている神社
ではここで、オオゲツヒメが祀られている神社をいくつか紹介します。
オオゲツヒメは食物・穀物の神ですが、「オオゲツヒメ」という名前で祀られている神社はほとんどありません。
別名である「ウケモチノカミ」で祀られているようです。
様々なご利益が得られる神様であり、私たちの生活にも欠かせないのでぜひお参りに行ってみてください。
竹駒神社
住所 | 〒989-2443 宮城県岩沼市稲荷町1-1 |
電話番号 | 0223-22-2101 |
公式サイト | https://takekomajinja.jp/index.html |
主祭神 | ウカノミタマノカミ、ウケモチノカミ、ワクムスビノカミ |
ご利益 | 産業開発、五穀豊穣、商売繁昌、海上安全、交通安全、厄除開運、安産守護、縁結び |
竹駒神社は、古くから日本三大稲荷のひとつとして多くの人から信仰されています。
年間で約40程の神事を行っていますが、中でも有名なものが初午大祭でしょう。
7日間に渡って多くの参拝客が訪れ、神輿渡御など見どころも多いです。
神輿渡御では岩沼市指定無形文化財にもなっている竹駒奴がみられるので、ぜひ足を運んでみてください。
岩内神社
住所 | 〒045-0012 北海道岩内郡岩内町字宮園41番地 |
電話番号 | 0135-62-0143 |
公式サイト | https://www.iwanai-jinja.com/ |
主祭神 | 応神天皇、イチキシマヒメノカミ、ウケモチノカミ |
ご利益 | 家内安全、交通安全、厄除け、開運、商売繫盛 |
岩内神社は桜の名所としても知られており、桜の季節には非常に多くの人が訪れています。
北海道内の神社には「ご当地みくじ」があり、岩内神社では「たら福みくじ」を引くことが可能です。
その他にも「縁まもり」など独自の技術授与品があり、若い人にも人気の神社と言えるでしょう。
例祭は7月7日から9日に行われ、お神輿が神社坂を一気に駆け上がる姿は圧巻です。
猿賀神社
住所 | 〒036-0242 青森県平川市猿賀石林175 |
電話番号 | 0172-57-2016 |
公式サイト | http://ss701927.stars.ne.jp/index.html |
主祭神 | カミツケヌノキミタミチノミコト |
ご利益 | 国土開発、農業・漁業守護、五穀豊穣 |
猿賀神社は、桜や蓮の花などの自然が豊かな場所にあります。
鏡ヶ池・見晴ヶ池というふたつの池があり、特に鏡ヶ池は散供占いの霊場として信仰されていました。
また、蓮根を加工した「蓮根ようかん」は特産品として知られています。
猿賀神社を訪れた際には、ぜひ手に入れてみてください。
箭弓稲荷神社
住所 | 〒355-0028 埼玉県東松山市箭弓町2-5-14 |
電話番号 | 0493-22-2104 |
公式サイト | https://www.yakyu-inari.jp/ |
主祭神 | ウケモチノカミ |
ご利益 | 五穀豊穣、商売繁昌、家内安全、交通安全、厄除、火難除、開運、学業成就、芸能向上 |
箭弓神社では、一年を通して様々な神事が行われています。
元旦には多くの出店が並び、県内外から参拝客が訪れる非常に人気の神社です。
例大祭は9月21日に開催され、神楽などが奉納されています。
歴史と伝統のあるお祭りなので、ぜひ足を運んでみてください。
まとめ
食物の女神、オオゲツヒメについて紹介しました。
オオゲツヒメは悲惨な死を遂げますが、私たちに穀物を残してくれた女神です。
オオゲツヒメがいなければ、今のように農業が栄えることはなかったかもしれません。
私たちの生活においても欠かせない存在といえるオオゲツヒメをお参りし、より身近に感じてみてください。