相撲の神、ノミノスクネを知っていますか?
ノミノスクネは神様として生まれたわけではなく、後に神様として崇められるようになった人物です。
ここでは、
- ノミノスクネの神話
- ノミノスクネにまつわる説
- ノミノスクネのご利益と祀られている神社
について紹介します。
ぜひ、最後まで読み進めてみてください。
ノミノスクネはどんな神様?
ノミノスクネは、日本書紀に登場する豪族です。
最初から神様として生まれたわけではありません。
ノミノスクネの行いやそれらを伝える子孫の話などから、神様と呼ばれるようになったのです。
そんなノミノスクネは相撲の神であり、埴輪の発明をした人物とも言われています。
ノミノスクネの神話
ノミノスクネは出雲に住む豪族ですが、力に長けていることで有名でした。
当時の天皇の命で力自慢のタイマノケハヤと戦い、これに勝利。
この戦いが、今の相撲の始まりだと言われているのです。
また、ノミノスクネは出雲の職人たちと共に非常に大きな古墳を作ります。
この古墳の大きさが尋常ではなかったことから、「まるで神業だ」「これを作った人は相当力が強かったのだろう」と言われるようになりました。
これらのエピソードから、いつしかノミノスクネは「相撲の神」と呼ばれるようになったのです。
相撲の始祖
後述しますが、ノミノスクネとタイマノケハヤの戦いが相撲の始まりであると考えられています。
その戦いに勝ったわけですから、ノミノスクネは今でいう横綱のような存在だったのかもしれません。
とはいえ、この戦いでノミノスクネは相手を蹴り殺してしまっています。
相撲で蹴り技は認められていませんから、今の相撲とは異なることは明白でしょう。
また、相撲取りが行う「しこ踏み」という足を高く上げる動作を知っていますか?
実はこの動作は、ノミノスクネの戦いの際の動作が残ったものだと言われています。
タイマノケハヤとの対決
タイマノケハヤは相当な力自慢で、「自分に勝てるやつはこの世に誰もいない」と豪語していました。
当時の天皇だった垂仁天皇は、誰かタイマノケハヤに勝てそうな人物はいないかと周囲に問います。
そのとき名前が挙がったのが、出雲に住むノミノスクネだったのです。
出雲から召喚されたノミノスクネは、垂仁天皇の命でタイマノケハヤと勝負。
ノミノスクネがタイマノケハヤの腰を蹴り砕き、ノミノスクネは見事戦いに勝利します。
自分より強いやつはいないと威張っていたタイマノケハヤですが、あっさりと負けてしまうのです。
ノミノスクネの強さを気にいった垂仁天皇はノミノスクネに領地を与え、自分の臣にしました。
天皇の下で働くというのは大変名誉なことのため、大出世をしたのです。
タイマノケハヤとの戦いが、ノミノスクネにとって人生のターニングポイントになったと言っても
過言ではありません。
重い病にかかる
ノミノスクネは天皇の側近として仕えますが、ふるさとの出雲に帰る途中に病のため亡くなります。
重い病気にかかり、そのまま命を落としたようです。
どんな病気だったのかは、わかっていません。
ノミノスクネは道中で亡くなったのですが、村人たちが一列に並んで石を手渡ししながらお墓を作りました。
全て人の手で行ったので、相当な時間を要したことでしょう。
多くの人が立ち並ぶ様子は「立野(たちの)」と呼ばれ、今の「龍野(たつの)」になったそうです。
ノミノスクネの別名
ノミノスクネ(野見宿禰)には、いくつかの別名があります。
しかしどれも、読み方は「ノミノスクネ」です。
- 努美宿禰
- 努美足尼命
- 弩美宿禰
漢字は違いますが、読み方が全て同じになっています。
ノミノスクネの様々な説
ノミノスクネは相撲の神として知られていますが、それだけではありません。
ここでは、ノミノスクネにまつわるいくつかの説を紹介します。
詳しく見ていきましょう。
ノミノスクネと埴輪
埴輪というのは、昔古墳などに一緒に埋められていたもの。
人や馬の形をしているものが一般的です。
じつはこの埴輪、最初に提案したのはノミノスクネだと言われています。
昔は天皇や皇族などの偉い人が死ぬと、家来や側近もあとを追って死ぬという風習がありました。
これを「殉死」と言います。
皇族が死んだとき、家来たちは生き埋めにされていたのです。
これに異を唱えたのが、ノミノスクネでした。
ノミノスクネは、代わりに埴輪を埋めることを提案します。
埴輪の誕生により、優秀な人材を殉死させなくてすむことになった天皇は大変喜んだそうです。
殉死には多くの人が疑問を抱いていたにも関わらず、どうすることもできない状態が続いていたのでしょう。
ノミノスクネの発案で殉死の風習はなくなり、天皇はノミノスクネに「土師」の姓を与えます。
その後も土師氏は、代々天皇の葬儀を担う立場になったそうです。
ノミノスクネの墓
ノミノスクネは出雲に帰る道中で、病によって亡くなっています。
そのときに村人によって作られたお墓が、今の兵庫県たつの市にあるもの。
しかし、ノミノスクネのお墓があるのは兵庫県たつの市だけではありません。
鳥取市や松江市にも、ノミノスクネの骨を分骨して建てたとされるお墓が存在しています。
奈良県にもノミノスクネのお墓はあるので、まさに色々な所に点在していると言えるでしょう。
それだけ、ノミノスクネが多くの人から慕われていた証なのかもしれません。
ノミノスクネの子孫
ノミノスクネが天皇から「土師」の姓をもらったことで、ノミノスクネの子孫は「土師姓」を名乗ることになります。
この「土師姓」からは、
- 大江
- 菅原
- 秋篠
などが誕生しているのです。
つまり、誰もが知る学問の神様・菅原道真もノミノスクネの子孫にあたるということ。
力だけでなく、学問の面でも優秀な人材を輩出した一族だと言えるでしょう。
まさに文武両道の一族なのです。
ノミノスクネのご利益
ノミノスクネをお参りすると、どんなご利益を得ることができるのでしょうか。
主なご利益には、
- 相撲
- スポーツ上達
- 技芸上達
があります。
ひとつずつ説明しましょう。
相撲
ノミノスクネは相撲の神ですから、当然ですが相撲のご利益を得ることができます。
実際、ノミノスクネが祀られている神社には「相撲の聖地」と呼ばれているところもあるのです。
多くの力士が、己の力を高めるためにお参りに訪れています。
自分が相撲をやっているという人だけでなく、相撲が好きという人も訪れてみてはいかがでしょうか。
スポーツ上達
ノミノスクネは相撲の神ですが、スポーツ全般のご利益も期待できます。
大きく分ければ、相撲もスポーツの一種です。
ノミノスクネは力に長けていたので、力を使うスポーツの方は特にご利益を得られるかもしれません。
たとえば柔道やレスリング、ベンチプレスなどをしている人はお参りしてみてはいかがでしょうか。
技芸上達
技芸というのは、美術や工芸の技のこと。
芸術分野全般を指すこともあります。
ノミノスクネは埴輪を作った本人ですので、手先が器用だったのでしょう。
仕事や趣味で芸術に携わっている人は、ぜひお参りに行ってみてください。
ノミノスクネが祀られている神社
ではここで、ノミノスクネが祀られている神社を紹介します。
ノミノスクネにはスポーツや技芸を上達させるご利益があるので、
これらの分野に関わりのある人はお参りしてみてはいかがでしょうか。
龍野神社
住所 | 〒679-4170 たつの市龍野町中霞城2 |
電話番号 | 0791-62-0789 |
公式サイト | https://www.hyogo-jinjacho.com/data/6318116.html |
主祭神 | ケンヤスハルノシノカミ |
ご利益 | 記載なし |
龍野神社では、毎年4月5日から11日の間にある日曜日に例祭を行っています。
「龍野武者行列」といって、お神輿の後ろを甲冑武者・子供武者が行列を作って練り歩くそうです。
武者行列を行っている神社の例祭はとても珍しいので、ぜひ4月の5日から11日の間の日曜日に足を運んでみてください。
片埜神社
住所 | 〒573-1146 大阪府枚方市牧野阪2-21-15 |
電話番号 | 072-857-7775 |
公式サイト | https://www.katanojinja.com/ |
主祭神 | 建速須佐之男命、菅原道真公、事代主大神、他 |
ご利益 | 厄除け、方除、厄災除、家内安全、病気平癒、合格祈願、良縁祈願 |
毎年1月9日から11日の3日間に、牧野枚方えびす祭が行われています。
えびす祭では、ここでしか手に入らない「花えびす」の授与が行われるのが特徴です。
花えびすは、本格的なシルクフラワーをあしらった一点ものの縁起物になります。
商売繫盛の御祈禱がされており、非常に珍しいものだと言えるでしょう。
出雲大社
住所 | 〒699-0701 島根県出雲市大社町杵築東195 |
電話番号 | 0853-53-3100 |
公式サイト | https://izumooyashiro.or.jp/ |
主祭神 | オオクニヌシノオオカミ |
ご利益 | 良縁祈願、子授け、夫婦和合、五穀豊穣、商売繫盛 |
出雲大社は、縁結びの神・福の神として名高い神社です。
入り口には大きな石碑とともに、大きな鳥居が立っているのが特徴。
地元の幼稚園児や中学生を対象とした、「吉兆行事」も毎年行われています。
出雲大社は、地元との繋がりが深い神社だと言えるでしょう。
野見神社
住所 | 〒569-0077 大阪府高槻市野見町6-6 |
電話番号 | 072-675-11316 |
公式サイト | https://www.nomijinja.jp/ |
主祭神 | スサノオノミコト、ノミノスクネノミコト |
ご利益 | 病気平癒、技芸上達 |
野見神社では、毎年4月29日に「泣き相撲」が行われています。
泣き相撲は、成長を祈願する神事として執り行われているものです。
ノミノスクネが相撲の神様であることから、「泣き相撲」が行われているのでしょう。
泣き相撲の対象となるのは生後6ヶ月から2歳くらいまで。
3月頃になるとホームページに詳細が掲載されるので、興味がある方は目を通してみてください。
野見宿禰神社
住所 | 〒130-0014 東京都墨田区2-8-10 |
電話番号 | 03-3623-8572 |
日本相撲協会HP | https://www.sumo.or.jp/KokugikanSumoMuseum/nominosukune/ |
主祭神 | ノミノスクネ |
ご利益 | 相撲、スポーツ上達、技芸上達 |
野見宿禰神社は、相撲の聖地としても知られています。
境内には、歴代横綱の名前が刻まれた石碑が建てられているのです。
東京で大相撲本場所が開催される前には、新横綱の土俵入りを開催。
これには日本相撲協会の理事長や審判部長も出席しており、この時期の風物詩となっています。
まとめ
相撲の神・ノミノスクネについて紹介しました。
ノミノスクネは元々神様として生まれたわけではなく、神話のように語り継がれた結果神様になった人。
力に長けていても威張ることなく、むやみな殺生を止めた心優しい人でもあるのです。
子孫には菅原道真もおり、文武両道を目指したい人にもおすすめの神様だと言えるでしょう。
ご利益を得たい方は、お参りに行ってみてください。