アマテラスオオミカミは、イザナミとイザナギの間に生まれた神様です。
八百万の神々の最高位に位置しております。
この記事では、このアマテラスオオミカミについて詳しく解説していきましょう。
是非、最後までご覧ください。
アマテラスオオミカミはどんな神様?
日本神話において、アマテラスオオミカミは欠かせない存在です。
太陽を司る女神として知られ、誕生した時から神話にて語り継がれています。
そして天皇の祖神であり、日本で最も重要な神様として知られるのです。
アマテラスオオミカミの誕生
アマテラスオオミカミが誕生したのは、父イザナギの禊(みそぎ)でのことだといいます。
黄泉の国へ行ってしまった妻イザナミを取り戻そうと、後を追う夫イザナギ。
しかし連れ戻すことはおろか、妻との関係すらこじれてしまいました。
妻がよこした追手から、逃げるようにして帰ります。
黄泉の国から帰ってきたイザナギは、
穢れてしまった身を清めるために「日向の阿波岐原」にて禊を行いました。
このイザナギの禊によって、数体の神様が生まれます。
最初に洗った左目から生まれたのが、アマテラスオオミカミです。
続いて右目を洗うとツクヨミノミコトが、鼻を洗うとスサノオノミコトが生まれました。
こうして生まれた神々にイザナギは、それぞれに世界を委ねます。
アマテラスオオミカミには高天原を。
ツクヨミノミコトには夜の国、スサノオノミコトには海原を委ねました。
天の岩戸
高天原を統治していたアマテラスオオミカミの元に、弟であるスサノオノミコトが現れます。
スサノオノミコトは黄泉の国へ行った母に会いたいと嘆き、自分の国を統治する仕事を放棄していました。
それを知った父イザナギが国から追放してしまったため、スサノオノミコトは姉の国へやってきます。
しかしこのスサノオノミコトは大変荒々しい性格で、荒神とも呼ばれていました。
そんな彼は姉の統治する高天原でも、荒神ぶりを発揮してしまうのです。
高天原の水田を荒らし、神聖な御殿を汚してしまいます。
さらには機織りをしている小屋へ、皮をはいだ馬を投げ込み驚かせるという乱暴をはたらきました。
この弟の仕打ちに怒ったアマテラスオオミカミは、天岩戸と呼ばれる洞窟に隠れてしまいます。
太陽の神アマテラスオオミカミが隠れてしまったせいで、世界は光を失い闇に覆われました。
そんな闇の世では、様々な病や災いが起こってしまいます。
この現状に、神々はどうにかしてアマテラスオオミカミを天岩戸から出そうと話し合います。
そして洞窟の前に八咫鏡と八尺瓊勾玉を榊にかけ、祈りを捧げました。
さらにアメノウズメノミコトが裸で神楽を踊り、その場を盛り上げます。
外から聞こえる賑やかな様子を不思議に思い、アマテラスオオミカミは戸を開け覗きました。
覗いた先に置いてある鏡に映った自分を見て驚き、さらに戸を開いてしまうアマテラスオオミカミ。
その瞬間タヂカラムノカミが岩戸を投げ飛ばし、アマテラスオオミカミを隠すものは無くなります。
そうして、世の中に再び光が戻ったということです。
天孫降臨
オオクニヌシノカミより、葦原の中つ国を譲り受けるアマテラスオオミカミ。
アマテラスオオカミは、この葦原の中つ国を息子のアメノオシホミミノミコトに治めるよう命じます。
命じられたアメノオシホミミノミコトは、葦原の中つ国へ降りる身支度を始めました。
ところが、身支度をしている最中に息子のニニギノミコトが生まれるのです。
葦原の中つ国へ降りるのは、自分よりも若い息子のニニギノミコトが適任と申し出るアメノオシホミミノミコト。
その願いをアマテラスオオミカミは聞き入れ、孫のニニギノミコトが葦原の中つ国へ降りることに決定しました。
命を受けたニニギノミコトは神々を引き連れ、アマテラスオオミカミより譲り受けた三種の神器を手に葦原の中つ国へ向かいます。
道の途中、ニニギノミコトが降り立つと聞きサルタヒコノカミが迎えに来ていました。
サルタヒコノカミの先導で、幾重にも重なった雲を押しのけ進む一行。
たどり着いた先は、日向の高千穂の地だったといいます。
そこは朝日がよく照らし夕日も望め、笠沙の岬へも一直線でした。
ニニギノミコトはこの美しい土地に、高く立派な柱を立て宮殿を築きました。
その柱は、高天原に届くかのように高かったとか。
アマテラスオオミカミの別名
アマテラスオオミカミの別名に「大日孁貴神(オオヒルメノムチノカミ)」があります。
この名は、太陽そのもの・太陽に仕える巫女を神格化した名前とされています。
古事記ではアマテラスオオミカミで統一されていますが、日本書紀では複数の名前で出てきているようです。
- アマテラスオオカミ
- オオヒルメノムチノカミ
また神社によっても、呼ばれる名前が変わっています。
- オオヒルメノミコト
- オオヒルメ
- オオヒメ
アマテラスオオミカミにまつわる様々な説
アマテラスオオミカミの有名な神話とは別に、意外な仮説があるのをご存じですか?
いくつか紹介していきます。
岩戸隠れは日食を意味していた説
天岩戸の神話内で、アマテラスオオミカミが隠れてしまったことで世界が闇に包まれてしまう場面があります。
このシーンが日食を表しているという説は、あながち都市伝説などではないようです。
まず神話内に、鳥や獣が騒ぐ場面があります。
アマテラスオオカミが隠れたことで闇に包まれた際、動物たちは慌てて騒ぎ立てるのです。
その様子は、日食でよくみられる動物の習性を描いたものと言われています。
次に、アマテラスオオミカミが外の様子を伺う場面です。
岩戸の隙間から顔をのぞかせた、光り輝く太陽の神。
この場面は俗にいう「ダイアモンドリング現象」の状態といわれます。
これだけではこじつけのように感じる方もいますよね?
しかし実際に、この神話を元に日食の日時や場所の特定に踏み込んだ天文学者がいるほどなんです。
それ故に、この説は濃厚だと考えられています。
実在のモデルがいた説
アマテラスオオカミにモデルがいたという話は、いくつかあるようです。
一つは、皇室史上三人目の女性天皇である持統天皇です。
持統天皇が即位されたころに、この日本神話が成立したためとも言われています。
また持統天皇は若くして亡くなった息子に代わり、孫のために中継ぎで即位したことでも有名です。
この事実をもとに、アマテラスオオカミが孫のニニギノミコトへ命を下す場面が生まれたという説も。
二つ目は邪馬台国の卑弥呼が、アマテラスオオカミのモデルとされる説です。
いくつか理由があるのですが、その一つが天岩戸の神話。
卑弥呼は神に通づる力を持っているとされ、国の未来などを占っていたといいます。
その卑弥呼が亡くなってしまったことで、世界の未来が見えなくなり闇に包まれたと語られたのではないかという説。
実際、天文学的にも卑弥呼が亡くなる前後には日食が起きています。
この出来事が日本神話にて脚色され、天岩戸へ隠れられたと語られているのではないでしょうか。
持統天皇と卑弥呼、どちらも有名な女性偉人です。
当時の人々もこの素晴らしい人物が、神話として語り継がれていくことを望んでいたのでしょうね。
書物によって性別が異なる説
アマテラスオオミカミを思い浮かべたとき、大半の方が女神を想像されることでしょう。
しかし、男神であった説があるのです。
アマテラスオオミカミが女性とされたのは、日本書紀です。
アマテラスオオミカミは、オオヒルメノムチノカミと呼ばれていました。
このオオヒルメノムチノカミは、太陽神を祀る巫女という意味で書かれてます。
スサノオノミコトが、アマテラスオオカミを「姉」と呼んでいることも女性である説を強めていますね。
アマテラスオオミカミの男神説を強めているのは、ホツマツタエという文献の存在です。
ホツマツタエは、古事記を編纂する際に統合された文献の一つと考えられています。
このホツマツタエの中に、神々の生活の様子が記されている部分がありました。
ホツマツタエ内でアマテラスオオミカミは、日の皇子として後に男神アマテルとして描かれます。
そしてアマテルには「ツキヨミ」と「ソサノヲ」という兄弟がいる点が、アマテラスオオミカミと一致。
また、アマテルには妻が12人と正室がいたとの記載もあります。
その他にもアマテラスオオミカミが、男神である裏付けはたくさん仮説がたっているようです。
興味のある方は、ぜひ検索してみてください。
アマテラスオオミカミのご利益
アマテラスオオミカミには、ありがたいご利益が沢山あります。
日本の最高位に位置する神様、アマテラスオオミカミのご利益を見ていきましょう。
国土安泰
アマテラスオオミカミが国土安泰のご利益があるとされているのは、やはり皇室の始祖であることからでしょう。
また太陽神であることから、平和や豊かさをもたらすと考えられているようです。
開運招福
アマテラスオオミカミはやはり太陽神であることから、先を照らす・導く神様としても知られています。
何か迷ったりしたときの、困難打破などのご利益もあるようです。
無病息災
アマテラスオオミカミに無病息災のご利益があるとされているのは、恐らく天岩戸の神話からではないでしょうか。
アマテラスオオミカミが天岩戸に隠れている間、災いや病気が世の中に蔓延したと伝えられます。
ですが岩戸より出てきてから、世の中のその災難は解消された。
このことからアマテラスオオミカミのおかげで、病気や災難に見舞われずにいられたと考えられますよね。
勝運
太陽を司り、日本を作ったといっても過言ではないアマテラスオオカミ。
これまでの逸話やその采配に、あやかりたいと思うのは自然でしょう。
学業や出世でも、その力を貸してくれると信じられているようです。
アマテラスオオミカミが祀られている神社
アマテラスオオカミを祀っている神社は全国に数多くあります。
いくつかご紹介しましょう。
伊勢神宮
住所 | (内宮)〒516-0023 三重県伊勢市宇治館町1 |
電話番号 | 0596-24-1111 |
公式サイト | https://www.isejingu.or.jp/ |
主祭神 | 天照坐皇大御神(天照大御神) |
ご利益 | 開運招福、厄除け、農業・漁業の守護、産業振興など |
伊勢神宮は、日本で最も知られている神社といっても過言ではありませんね。
主に国の平安と国民の幸福を日々祈り、神事や催しものが行われています。
その数は年間1500回に達するそうです。
また、三種の神器でもある八咫鏡(やたのかがみ)が祀られていることでも有名ですね。
熱田神宮
住所 | 〒456-0031 名古屋市熱田区神宮1-1-1 |
電話番号 | 052-671-4151 |
公式サイト | https://www.atsutajingu.or.jp/ |
主祭神 | アマテラスオオカミ、スサノオノミコト、ヤマトタケルノミコト、 ミヤスヒメノミコト、タケイナダネノミコト |
ご利益 | 家内安全、無病息災、縁結び、出世開運、商売繁盛、合格祈願 |
熱田神宮は、伊勢神宮につぐ格別に尊いお宮として知られています。
こちらには三種の神器の一つである草薙の剣(くさなぎのつるぎ)が祀られていることで有名です。
他にも境内にある宝物館には全国より寄せられた6000点を越える奉納品が展示され、
信仰の歴史も見ることができます。
熱田神宮では年間60もの祭典と、約10に及ぶ神事が行われているようです。
中でも「熱田まつり」は神宮最大のお祭りで、天皇陛下のお使いとして勅使が御参向になられるそう。
東京大神宮
住所 | 〒102-0071 東京都千代田区富士見2-4-1 |
電話番号 | 03-3262-3566 |
公式サイト | https://www.tokyodaijingu.or.jp/ |
主祭神 | アマテラスオオカミ、トヨウケダイジン、ヤマトヒメノミコト |
ご利益 | 家内安全、商売繁盛、厄除開運、良縁、交通安全、学業成就など |
東京大神宮は「お伊勢参り」を人々が生涯かけての願いとしていた頃、明治の新国家誕生とともに明治天皇へのご裁断を仰いだことで創建されました。
そして東京における伊勢神宮の遥拝殿として明治13年に創建され、今でも「東京のお伊勢さま」と呼ばれ人々に親しまれています。
関東大震災を乗り越え場所を日比谷から現在の地へと移しながらも、人々に愛されてきた神宮です。
また現在では広く行われている「神前結婚式」は東京大神宮が創始であり、今でも伝統的な結婚の儀式が守られています。
日向大神宮
住所 | 〒607-8491 京都府京都市山科区日ノ岡一切経谷町29 |
電話番号 | 075-761-6639 |
公式サイト | http://www12.plala.or.jp/himukai/ |
主祭神 | アマテラスオオカミ、タキリビメノミコト、イチキシマヒメノミコト、 ニニギノミコト、アメノミナカヌシ |
ご利益 | 事業成功、交通安全、学業向上、安産祈願、心願成就、病気平癒、良縁祈願、芸能上達など |
京都最古の神宮であり「京のお伊勢さん」として有名です。
昔は東海道を旅する人々の道中の安全祈願や、遥拝のために訪れる人が多かった模様。
また日向大神宮には「天の岩戸くぐり」なるものがあります。
それは人の背丈ほどの穴(奥行5メートル程の通路)が開いた岩を、手前から奥にくぐり抜けるというもの。
この岩の中ほどにタヂカラオノミコト(タヂカラムノカミ)が祀られており、
くぐり抜ける際に穢れが落ちて開運・厄除けのご利益があるとされています。
天岩戸神社
住所 | 〒882-1621 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字天岩戸1073-1 |
電話番号 | 0982-72-8239 |
公式サイト | https://amanoiwato-jinja.jp/ |
主祭神 | アマテラスオオカミ |
ご利益 | 開運招福、勝運上昇、困難打破、芸能上達など |
天岩戸神社は名前にもある通り、アマテラスオオミカミが隠れたとする天の岩戸をご神体として祀られています。
また神話の中にもでてきた、アメノウズメノミコトが躍ったとされる神楽が今でも受け継がれていることで有名です。
この神楽は「天岩戸神楽」と呼ばれ無形文化財にも登録されており、年に3回天岩戸神社にて拝観することができます(予約・拝観料必要)。
天岩戸神楽は33の神楽で構成されており、全体を通すと16時間もかかるそうです。
時期によって抜粋して行われているようなので、興味のある方はぜひ調べてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
日本の皇室の祖神と言われ、日本の神々の最高位に立つアマテラスオオカミ。
掘れば掘るほど、色んな神様とのつながりや事実が見えてきます。
昔から日本人が神様を身近に感じ、大切に祀っていた様子が伺えますね。
アマテラスオオミカミのご利益を得たい方は、祀られている神社へ行ってみましょう。